1976年にNHKの番組「世界のワンマンショウ」がシルヴィのフランスのTVショウを放映。1978年「ディスコ・クィーン」を含めて1970年代は多くのヒットに恵まれ、6度も来日し数週間から約1ヶ月間、全国津々浦々を巡演。1978年の3週間余りの興行の際、東京銀座中央通りの街灯に掲げられたフラッグ広告はヒョウ柄のボブ・マッキーを纏ったシルヴィ(1977年パリ公演ライヴ盤の写真)。
2015年にフランスで出版された LE STYLE VARTAN(モード写真集)に地方の駅ホームで列車を待つ素顔のヴァルタン一行の写真が掲載されている。スーツケースなど大荷物が長距離の旅を想像させる。この時代のハスキーヴォイスで歌う一見して粗削りなロックやその溶々たる歌い方は、シルヴィの大きな魅力の一つ。シルヴィ・ヴァルタンの日本での根強い人気は精力的に活動した1970年代を盤石にしていると言える。
(※ 「愛と同情と」(PAR AMOUR, PAR PITIE/1966年作品)、シルヴィの永遠の一曲。本作は ALI SMITH (スコットランドの作家、1962-) の好きな一曲。小説「HOW TO BE BOTH」(2014)の表紙(1963年頃の夏、南仏の町を散歩中の若きシルヴィ(19歳)とフランソワーズ・アルディの写真)について、発売当時と2020年10月にBBCラジオでアリ・スミスのインタヴューが放送されている。スミスは実際、思春期にフレンチ・ポップスを聴いていたそうで「愛と同情と」がリクエスト曲の一つだった。本の表紙に見る二つの対極するパーソナリティーと(半世紀余り前に)彼女達が発する自由に触れた。